KiCadで基板を作る

オープンソースの回路CAD「KiCad」を利用した回路設計や基板製作などを紹介します。


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iw回路設計
KiCadで回路設計や基板設計をしたりしています。 https://iw-circuitdesign.net

基板画像

年賀状基板作製(前編)の記事はコチラ↓
年賀状基板の作製(前編)
ひとまず、前回のおさらいも兼ねて今回の年賀状基板の作成手順は以下の通りになっています。
  1. 年賀状のデザインを考える
  2. デザインをもとにフットプリント用の画像を用意する
  3. KiCadのツール(Bitmap2Component)を使って画像をフットプリントに変換する(←前編はここまで)
  4. 以前作成したArduino互換基板のプロジェクトフォルダをコピーする
  5. 基板エディタ(Pcbnew)でアートワークを行う
  6. ガーバーデータを出力する
  7. 基板メーカーに発注
前編では「3.画像をフットプリントに変換する」まで行いました。

ここまで出来たら、あとはKiCadの基板エディタ上でフットプリントを貼り付ければ良いだけです。
が、これだけだとちょっとプリント基板らしさが足りないので、以前作ったArduino互換基板の回路(※)も盛り込むことにしました。
※【参考】以前作製したArduino互換基板の記事
Arduino互換基板の作成(1) 〜はじめに〜

Arduino互換基板のプロジェクトをコピーする

ということで、Arduino互換基板の回路を流用するために「4.以前作製したArduino互換基板のプロジェクトフォルダをコピー」します。
KiCadではプロジェクトのコピー機能はないので、単純にエクスプローラ上で適当な場所へArduino互換基板プロジェクトのフォルダごとコピーします。
コピーしたArduino互換基板のデータを使って年賀状基板を作っていくことになります。
フォルダ名だけ年賀状基板用に変更し、フォルダ内のファイルは特にリネームせずに進めます。
(未検証ですが、ファイル名を直接変更してしまうとうまく動作しなくなったり、突然エラーで落ちたりする可能性がありそうですので変更しないようにしました)

回路図は特に変更しない

回路図とネットリストはArduino互換基板のものをそのまま流用します。 
なので、今回は回路図エディタでの作業は行わずに「5.基板エディタ(Pcbnew)でアートワーク」に進みます。 

基板エディタでアートワーク

基板エディタ(Pcbnew)を立ち上げてアートワークを行なっていきます。
基板エディタ起動1

元の基板データは消す

新しく基板データを作っていくので、元のArduino互換基板の基板データは消してしまいます。
・元の基板データ
基板エディタ起動2
   ↓
・基板全体を選択して、右クリックメニューの「ブロックを削除」で全て削除

基板データ削除

ネットリストを読み込む

元の基板データを削除してまっさらな状態になったら、
まずはArduino互換基板の回路図情報(ネットリスト)を新たに読み込みます。
読み込むとArduino互換基板のフットプリントが表示されます。
フットプリント読み込み

基板外形を作る

ハガキの大きさ(100mm×150mm)で基板外形を作成します。 
基板外形

年賀状用のフットプリントを追加する

「3」で作成したフットプリントを追加します。
フットプリント追加

デザイン通りにフットプリントを配置する

「1」で考えた通りのデザインになるようにフットプリントを配置します。
おもてデザイン配置
裏デザイン配置

Arduino互換基板のフットプリントを配置する

デザインの邪魔をしないように、かつ配線しやすいように、かつワンポイントになるような感じでArduino互換基板のフットプリントも配置していきます。 
Arduinoフットプリント配置

配線する

Arduino互換基板のフットプリントを配線します。
配線幅は信号線:0.25mm電源ライン:0.8mmにしました。 
また、配線がない部分はGNDベタで覆います。
配線1
配線2

不要な表示を消す

本来のプリント基板としては回路部品のシルク表示があった方が良いと思いますが、今回は年賀状のデザイン優先とするので各フットプリントの部品番号などのシルク表示は非表示にします。 
シルク非表示

基板データ完成

ということで、こんな感じでできました。
完成図

ガーバーデータ&ドリルデータ出力

基板メーカーへ発注するために必要なガーバーデータ(基板製造用のデータ)とドリルデータを出力します。
ガーバー出力


基板メーカーに発注

今回の基板は「PCBGOGO.JP」さんに発注しました。 

【基板仕様】
  • サイズ:100mm×150mm
  • 層数:2層
  • 板厚:1.0mm
  • レジスト色:赤
  • シルク色:白
  • 表面処理:金フラッシュ 

完成品

発注して数日後、完成した基板が届きました。
さすがにシルク塗りつぶし部分は少しかすれやムラは見られますが、まずまず綺麗に出来上がったと思います。
基板画像
文字の部分がうまくできるか不安でしたが、綺麗に仕上がっていて良かったです。
表面処理を金フラッシュにしたので、銅箔部分が金色になりちょっと豪華に見えます。

当初の目論見通り、遠目からパッと見た感じは「ハガキ」ですが触ってみると「実はプリント基板!」という感じになりました。
たまにはこういった変わり種の基板を作るのも楽しいですね。機会があればまたこういう基板も作ってみたいです。

実用性には難がありますが、いちおう部品を載せればArduino互換基板として動くはずです。 
後で部品を実装して動かして見たいと思います。 

来年の年賀状はどうしましょう? 


前編 > 年賀状基板の作製(前編) 


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