KiCadで基板を作る

オープンソースの回路CAD「KiCad」を利用した回路設計や基板製作などを紹介します。


【プロフィール】
iw回路設計
KiCadで回路設計や基板設計をしたりしています。 https://iw-circuitdesign.net

ATtinyの書き込み用Arduinoシールドの基板データをKiCadで作ってみました。
ATtiny書き込みシールド完成図

小さいATtinyをArduino IDEで書き込みたい!

8ピンの小さいAVRマイコン(ATtiny13aやATtiny85など)をArduino IDEで書き込みできるようになったら、ちょっとした単機能の回路を作る場合やブレットボート上の実験などで便利かもしれないと思っていました。
そこでネット上を探すと、Arduino IDE標準のものではないですが、ATtinyシリーズをArduino IDEで使用するためのライブラリ・ボード設定ファイルを公開されている方々がいらっしゃいます。

これらの詳しい環境設定は他サイト様に譲りますが、 これらとArduino UNOを使用することで、ATtinyシリーズにスケッチ書き込みが行えるようになります。

ブレットボードでもいいけど基板化しよう

ブレットボード上に書き込み用回路を作り、Arduino UNOと接続すれば書き込みはできるのですが、
  • 書き込みの度にブレットボードで回路を作るのが少々面倒くさい
  • ブレットボードの回路をずっと保存しておくことができない性分(他の実験で配線や部品を流用して、回路をバラしてしまいがちです)
なので、いっそArduinoシールドとして基板化してしまった方がいいかなと思い、KiCadで基板データを作ることにしました。
 
 


Arduino用ユニバーサル基板シールドのメイキング動画  の時と同様に、Arduino UNOのテンプレートを利用しました。
テンプレート
 

基板の概要

  • Arduino UNOにスタックして使うシールド
  • 8ピンATtiny取り付け用に8ピンICソケットを使用します
  • シールド上に動作確認用LEDと電源確認用LEDを設けました
  • 電源はArduino UNOから5V電源を供給します 
回路は下記のような感じでなっています。(汚い手書きですみません。。)
手書き回路図

動画解説

KiCadのプロジェクト作成〜回路図作成〜基板データ作成までのメイキング動画になっています。

  • 00:23〜
Arduino UNOのテンプレートを利用を利用して KiCadのプロジェクトを作成します。

  • 00:29〜
回路図を作成していきます。
テンプレートを利用すると、I/Oコネクタの配線があらかじめ作成されています。 

実際に基板に実装するのは8ピンのICソケットですが、ATtiny13aの回路コンポーネントがデフォルトのライブラリにありましたので、回路図にはこれを使用しました。 

今回はテンプレートではI/Oコネクタの配線には「ローカルラベル」が使用されていましたので、この「ローカルラベル」を利用してATtinyのコンポーネントに接続しています。

個人的な好みなのですが、回路ブロック間の接続には「グローバルラベル」を使うことがほとんどで、ローカルラベルはあまり使いません。(ネット名を指定するときは使う程度です)
ローカルラベル
上図のような配線が途切れた状態はなんとなく気になってしまいます。
  • 接続先が分かりづらい
  • 見た目が未接続や配線途中の状態と勘違いしやすい
といったことがあるので、個人的にはグローバルラベルを使うようにしています。
あくまで自分の好みや癖の問題だと思いますので、ローカルラベルを使ってはいけないわけではありません。

  • 01:22〜
回路コンポーネントとフットプリントの関連付けを行います。
I/Oコネクタはすでに関連付けが行われていますので、追加したコンポーネントの関連付けを行っていきます。
今回は全てデフォルトで用意されているフットプリントを使用しました。

  • 01:37〜
ネットリストを生成して回路図エディタでの作業は完了です。
テンプレートを利用すると既にネットリストが生成されているのですが、 新たに回路を作成しましたのでネットリストを上書きして保存します。

  • 01:45〜
プリント基板エディタで基板データを作成していきます。
ネットリストを読み込むとフットプリントが表示されますので、基板上に配置していきます。
今回は基板上のスペースに余裕がありましたので、逆に配置に悩んでしまいました。

  • 02:28〜
配線前に、デザインルールエディタの設定画面で配線幅を設定します。
信号線 : 0.4mm
電源線 : 0.8mm (+5V、+3.3V、Vin、GND) 

ビア径は0.65mmに設定しました。 

  • 02:41〜
ラッツネストの表示に従って配線をしていきます。 

  • 02:59〜
おもて面と裏面のベタ配置を行います。
基本はGNDベタで覆います。
裏面の5V配線部分の周囲を5Vのベタで覆いました。

  • 04:14〜
この基板ではやらなくても問題なさそうですが、GNDベタのおもて面と裏面間のインピーダンスを下げるために、ベタ部分にビアをひたすら追加しています。

  • 04:34〜
完成!

※実は動画中では8ピンICソケットにピン番号のシルクを入れるのを忘れていたのと、GNDベタ部分のビア追加で5Vベタ上にビア追加するというミスをしていました。すみません。。
(動画収録後に基板修正しました) 


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