KiCadで基板を作る

オープンソースの回路CAD「KiCad」を利用した回路設計や基板製作などを紹介します。


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iw回路設計
KiCadで回路設計や基板設計をしたりしています。 https://iw-circuitdesign.net

前回からの引き続きで、ガーバーデータとドリルデータの出力を行っていきます。

ガーバーデータとドリルデータの出力

ガーバーデータとドリルデータの出力はプリント基板エディタ上から行います。 

  • メニューバーから [ファイル] > [プロット] を選択、またはツールアイコン上の「プロット」アイコンをクリック 
ガーバー出力3
または
ガーバー出力4

  • 製造ファイルウインドウが開きますので、出力フォーマット、出力ディレクトリ、出力レイヤ、オプション等を設定します。
  • 出力フォーマットガーバー
  • 出力ディレクトリ:前回作成したガーバーデータ保存用フォルダに設定 
  • 出力レイヤ導体層(F.Cu,  B.Cu)、シルク(F.SilkS,  B.SilkS) 、レジスト(F.Mask,  B.Mask)、基板外形(Edge.Cuts)
  • オプション「原点に補助座標を使用」にチェック(ここをチェックすると、前回設定した座標原点が使用されます。チェックしない場合は基板エディタの絶対座標で出力されるようです)
他項目は必要に応じて設定します。今回は下図のように設定しました。
ガーバー出力1
  •  各項目設定後に「製造ファイル出力」ボタンをクリックでガーバーデータが出力されます。

次にドリルデータの出力を行います。
  • 製造ファイル出力ウインドウの「ドリルファイルの生成」ボタンをクリック
  • ドリルファイルの生成ウインドウが開きますので、各項目を設定します。
  • 出力ディレクトリガーバーデータ保存用のフォルダに設定
  • ドリルの単位mm
  • ゼロの扱い小数点フォーマット
  • ドリルマップファイルフォーマットガーバー
  • ドリルファイル設定「PTHとNPTH穴データを一つのファイルにマージ 」にチェック(※)
  • ドリル原点補助座標 
※スイッチサイエンスPCBの場合は、ドリルデータはPTH(スルーホール)とNPTH(ノンスルーホール、バカ穴)の区別がないため、NPTHを作成した場合は1つのファイルにマージする必要があります。
仮にPTHのドリルデータのみで発注した場合は、NPTHの穴がない状態で製造されることになると思います。
ガーバー出力2
  • 各項目を設定後に「ドリルファイル」ボタンをクリックするとドリルデータが出力されます。

ガーバービューアで確認

ガーバーデータとドリルデータの出力はできましたので、KiCadのガーバービューアで最終確認をします。
  • プロジェクトマネージャの画面で、ガーバービューア(GerbView)アイコンをクリックするとガーバービューアが起動します。ガーバービューア
  • メニューバーから [ファイル] > [ガーバーファイルを読み込む] を選択
  • ドリルデータの場合は  [EXCELLONドリルファイルを読み込む] を選択
  • 任意のガーバーデータorドリルデータを選択 (ファイルはまとめて選択することもできます)
  • 表示等を確認して設計通りである事を確認します。各層を重ねて表示してプリント基板エディタと同様に表示されていれば問題ないと思います。
  • もし、ミスを見つけてしまったら面倒ですが基板エディタに戻って修正しましょう。発注後に見つけた場合はもう修正できないので、ここで見つかって良かったと思うようにしましょう。
・おもて面の導体層のガーバービューア表示例
ガーバー確認



ファイル名・拡張子の変更

スイッチサイエンスPCBへ発注するには、技術ガイドに記載されている通りにファイル名と拡張子を合わせる必要があります。

  • トップレイヤの名前pcb_name.GTL
  • ボトムレイヤの名前pcb_name.GBL
  • 表面のソルダレジストpcb_name.GTS
  • 裏面のソルダレジストpcb_name.GBS
  • 表面のシルクpcb_name.GTO
  • 裏面のシルクpcb_name.GBO
  • ドリルデータpcb_name.TXT
  • 基板外形pcb_name.GKOまたは.GML
pcb_nameは任意のファイル名ですので、今回は「arduino_board」として下記のように変更しました。 
 ファイル変更
  • ファイル名と拡張子の変更が終わったら、「gerber」フォルダをZIP圧縮します。
これで基板発注用のファイルが準備できました。

スイッチサイエンスPCBで発注

実際にスイッチサイエンスPCB(https://www.switch-science.com/pcborder/)で発注を行います。 
web上からガーバーデータをアップロードできますので、上記のZIPファイルを選択してアップロードします。
アップロードが完了すると、簡易ビューアで基板が表示されます。
簡易ビューアは正しく表示されないことがあるようで、今回アップロード時は下図のように外形が変な形に表示されてしまいました。
不安にはなりますが、KiCadのガーバービューアで正しく表示されていれば問題ないと思います。

発注画面

今回は下記のような基板仕様としました。
  • 表面処理  : 鉛入り半田レベラー
  • レジスト色 : 黒
  • 銅箔厚   : 1oz
  • 層数    : 2
  • 最大外形  : 最大5cm×5cm
  • 基板枚数  : 10
  • 基板の厚み : 1.6mm
スイッチサイエンスPCBはレジスト色を何色にしても追加料金がかからなくなったようですので、今回は「黒色」のレジストにしてみました。
基板仕様を設定したら、購入手続きを行えば発注完了となります。
基板に不備がなければ、2週間程度で基板が出来上がって届きます。

なので、発注及び支払いを完了後は基板が届くまで待ちましょう。

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