KiCadで基板を作る

オープンソースの回路CAD「KiCad」を利用した回路設計や基板製作などを紹介します。


【プロフィール】
iw回路設計
KiCadで回路設計や基板設計をしたりしています。 https://iw-circuitdesign.net

KiCadでは、回路図エディタ上の回路コンポーネントとフットプリントは直接結びついていません。

これは『回路図を書いた後に抵抗をリード部品から表面実装品に変えたい』という場合や『同じ回路で別バージョンの基板を作成する』場合などで、回路図に変更を加えずにフットプリントの置き換えのみで済むというメリットがあります。

しかし逆に言うと、基板データを作成するには、回路図を書いた後に全ての回路コンポーネントにフットプリントを紐つけする必要があります。
今回の回路図を作成した時点では、回路図上の回路コンポーネントにはフットプリントが割り当てられていませんので、回路コンポーネントとフットプリントの紐つけを行うツール「PvPcb」を使用して行っていきます。

 


・PvPcbの起動

PvPcbは回路図エディタEeshema上から起動することができます。
上側のツールアイコンで「PvPcbの実行」アイコンをクリックすると起動します。
PvPcb起動


まずは各部品と使用するフットプリントの寸法確認を行います。

 

DCジャックのフットプリント

部品番号CON1がDCジャックであるので、これをクリックして選択します。

左側にフットプリントのライブラリが表示されているので、この中の「Connect」を選択すると、右側にConnectライブラリ内のフットプリントが表示されます。

今回はConnectライブラリ内の「BARREL_JACK」を選択します。

ここでツールアイコンの「選択したフットプリントを見る」のアイコンをクリックすると実際のフットプリントを参照することができます。
DCジャック割り当て1

 ・「BARREL_JACK」のフットプリント参照および寸法の確認

 DCジャックフットプリント寸法


フットプリント参照画面右下にマウスカーソルの座標表示がありますので、この値を見ながらカーソルを動かすことで寸法確認ができます。
座標表示は左側の(X,Y)が絶対座標、右側の(dx,dy)が相対座標になっています。
相対座標は「スペースキー」を押すと、その時のカーソル位置を(0,0)にすることができますので、寸法を測るときはこれを使うと測りやすいと思います。
座標表示
 


今回使用するDCジャックは秋月電子通商さんで購入出来る「MJ−179PH」としましたので、このデータシートの図面とフットプリントの寸法を比較して問題ないか確認します。

 

 ・DCジャック「MJ−179PH」のデータシートより抜粋

 DCジャックデータシート


Connect」ライブラリの「BARREL_JACK」と「MJ−179PH」の寸法と比較すると

 

  • BARREL_JACK」のセンター端子(1番ピン)の穴の長さが  3.0mm
  • 「MJ−179PH」のセンター端子(1番ピン)の幅が 3.0mm±0.1mm

 

このままだとセンター端子(1番ピン)の穴に端子が入らない可能性があるため、穴の長さを3.5mm程度に広げる必要があることがわかりました。

ただし、この修正はここでは行わずに、後の基板エディタで基板データを作成する際に行います。

LEDのフットプリント

次にDCジャックと同様の手順で、実際のLEDの寸法を確認します。

一般的な砲弾型LEDのリードピッチは2.54mm、リード径は0.40.5mmです。

下図は秋月電子通商さんで入手できるスタンレー電気製の「EBG3402S」データシートから抜粋

LED寸法

 

対応するフットプリントはLEDs」ライブラリの「LED-3MM」が修正の必要もなく適当であるため、これを使用することにします。
LEDフットプリント


抵抗のフットプリント

実際の抵抗の寸法を確認すると

330Ω、1/4W品の寸法 : (L)6.3mm×(D)2.3mm、リード径0.45mm
 

 ・秋月電子通商さんで入手可能なリード抵抗のデータシート

 抵抗寸法


 対応するフットプリントは

Resisters_ThroughHole」ライブラリのResister_Horizontal_RM10mm」がフットプリントの修正が必要なく適当と考えられますので、これをそのまま使用することにします。
抵抗フットプリント_修正

出力コネクタ(ピンヘッダ)のフットプリント

一般的な2.54mmピッチの2極ピンヘッダに対応するフットプリントは

Pin_Headers」ライブラリの「Pin_Header_Straight_1x02」が適当と考えられるので、これを使用することにします。

ピンヘッダフットプリント
 

回路コンポーネントとフットプリントの紐つけを行う

それぞれの回路コンポーネントを選択した状態で、選んだフットプリントをダブルクリックすると紐つけることができます。

 

上記で選んだ通り、

[DCジャック] CON1  :  BARREL_JACK

[LED]      D1  :  LED-3MM

[出力コネクタ]  P1  :  Pin_Header_Straight_1x02

[抵抗]      R1  :  Resister_Horizontal_RM15mm

と紐つけを行いました。
フットプリント紐つけ


紐つけ情報の保存

  • メニューの[ファイル][編集を保存]を選択
または、
  • ツールアイコンの左端の保存アイコンをクリック

でフットプリントの紐つけ情報が保存されます。

 

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