KiCadで基板を作る

オープンソースの回路CAD「KiCad」を利用した回路設計や基板製作などを紹介します。


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iw回路設計
KiCadで回路設計や基板設計をしたりしています。 https://iw-circuitdesign.net

スイッチサイエンスPCBの製造仕様を確認する

ネットリストを読み込んだところで、基板設計を始める前に少し準備をします。
 

基板を製造する基板メーカーによって、製造できる基準が異なります。

ここで仕様を見落としてデザインルールの設定を間違ってしまうと、基板が製造できないこともありますので注意で

 

なので、基板メーカーの製造仕様を確認します。

今回はスイッチサイエンスの基板製造サービス「スイッチサイエンスPCB」を利用します。

https://www.switch-science.com/pcborder/

 

スイッチサイエンスPCBの技術ガイドのページで製造仕様が記載されていますのでこれを確認します。

https://www.switch-science.com/pcborder/techguide/#specifications

 

全部で24項目ほどの仕様が記載されています。

無視して良い項目はありませんが、下記項目は覚えておきましょう。

  • 基板の面積 : 最小20×20mm
  • 最小配線幅 : 0.1524mm
  • 最小配線/ビア/パッド間隔 : 0.1524mm
  • 穴径  : 0.3-6.35mm
  • ランド  : 0.1524mm以上
  • レジスト最小幅  : 0.1mm
  • レジスト間の最低距離  : 0.13mm以上
  • 外形から銅箔までの距離 : 0.4mm以上
  • 穴や銅箔からもう一方の銅箔までの距離 : 0.3mm以上
  • 最小長穴サイズ : 1×2mm


デザインルールの設定を行う

スイッチサイエンスPCBの製造仕様を踏まえて、KiCadのデザインルールの設定を行います。

 

プリント基板エディタのメニューから[デザインルール][デザインルール]を選択します。
デザインルール1

グローバルデザインルールの設定


デザインルールエディタの画面が開きますので、まず[グローバルデザインルール]のタブを選択します。
ビアオプションでは

  • ブラインド/ベリッドビアの禁止
  • マイクロビアの禁止

を選択します。

 

最小許容値設定では、
[最小配線幅]

スイッチサイエンスPCBの製造仕様では、最小配線幅は0.1524mmでしたので、この値以上に設定します。

KiCadのデフォルト設定は0.2mmとなっていたので、今回はこのまま「0.2mm」とします。

 

[最小ビア径]

スイッチサイエンスPCBの製造仕様では

  •  穴径は、0.3mm以上
  •  ランドは、0.1524mm以上

でしたので、0.4524mm0.3mm+0.1524mm以上の値に設定します。

今回は「0.5mm」とします。
(2017/1/31追記・訂正)
最小ビア径=最小穴径+最小ランド幅=0.4524mm以上のつもりで最小ビア径を0.5mmにしていましたが、間違えていました。
最小ビア径=(最小穴径の半径+最小ランド幅)×2=0.6048mm以上 が正しいです。 

Arduino互換基板の作成(7)でも同様のことを書きましたが

  • 最小ビア径:0.65mm以上

 とした方が良いかもしれません。

[最小ビアドリル径]

上記より穴径は0.3mm以上ですので、この値以上に設定します。

KiCadのデフォルト設定は0.3mmとなっていたので、今回はこのまま「0.3mm」とします。

 

[最小マイクロビア径、最小マイクロビアドリル径]

今回はマイクロビア禁止としたので、設定不要です。(デフォルト値のままにします)

 デザインルール2


ネットクラスの設定


次に[ネットクラスエディタ]のタブを選択します。

ここでは、実際に使用する配線幅やドリル径などを設定します。

ネットクラスを追加することで、電源の箇所には「電源用の配線」や信号線の箇所には「信号線用の配線」と言ったように配線の種類を分けて設定することができます。

 

今回はネットクラスを追加はせずに、「default」ネットクラスのみを使用することにします。

 

[クリアランス]

スイッチサイエンスPCBの製造仕様では

  • 最小配線/ビア/パッド間隔 : 0.1524mm
  • 穴や銅箔からもう一方の銅箔までの距離は 0.3mm以上
  • 外形から銅箔までの距離は 0.4mm以上

配線の間隔は0.1524mm以上の値に設定します。

今回は混みいった回路ではないので「0.4mm」とします。

 

[配線幅]

今回は5V電源の配線がメインですので、太めの「0.8mm」とします。

 

[ビア径]

最小ビア径以上の値に設定します。

KiCadのデフォルト設定は0.6mmとなっていたので、今回はこのまま「0.6mm」とします。
(2017/1/31追記) 
最小ビア径の訂正した内容に関連しますが

実際のビア径が0.6mmでも特にメーカーから問題ありの連絡が来ることなく一応製造はできています。
ただ仕様値ギリギリなので設計的に余裕があるなら ネットクラスのビア径:0.65mm以上 にした方が良いかもしれません。

[ドリル径]

最小ドリル径以上の値に設定します。

KiCadのデフォルト設定は0.4mmとなっていたので、今回はこのまま「0.4mm」とします。

デザインルール3
 

 

KiCadには「Pcb Calculator」という配線幅の許容電流などが計算できるツールがありますので、これを使用して配線幅やクリアランスを設定する目安にしても良いと思います。

また、Pcbnewのマニュアルにも「8.4 典型的な寸法例」(68ページ〜)として目安となる値が記載されています。

次 > プリント基板データの作成(その3)
前 > プリント基板データの作成(その1) 

 



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