※この記事は過去の「DCジャック変換基板の作成記事」をKiCadのバージョン5.0向けに書き直した記事です。
過去のバージョン4.0での作成記事はこちらをご覧ください→ DCジャック変換基板の作成(12) 〜プリント基板データの作成(その5)〜
前回の段階で部品配置が決まりましたので、配線を行っていきます。
おもて面を配線する
まずはおもて面(部品が乗る面)の配線を行います。
- レイヤーマネージャーのおもて面の配線用レイヤ「F.Cu」を選択
- 次に右側のツールアイコンから「配線」アイコンをクリック
- 各部品の接続すべき端子間が白い線(ラッツネスト)で表示されていますので、これを参考にパターンで接続していきます
- 配線したい端子のフットプリントをクリックすると配線パターンが表示されますので、うまくつながるようにパターンを描いていきます
ベタパターンを追加する
各端子間を配線して回路的には接続できた状態ですが、電源部分(+5VとGND)は配線の抵抗値が少しでも低くなるようにベタパターンを追加します。
GNDベタパターン
まずはGNDのベタパターンを作って行きます。
- ベタパターンを追加するには、右側のツールアイコンで「塗り潰しゾーンを追加」アイコンをクリック
- 次にベタパターンを追加したい範囲の始点をクリックします
すると、導体ゾーンのプロパティというウインドウが開きます。
- レイヤは「F.Cu」を選択
- GNDのネット「Net-(D1-Pad1)」を選択(※)
- その他の設定はデフォルトでは下図のようになっていると思いますので、今回はそのままで「OK」をクリックします
これで範囲を選択できる状態になります。
(※)ネット名は回路図の書き方や各部品のフットプリントによって変わります。
基本的には「Net-(部品番号-端子名)」というネット名になるようです。
回路図で電源シンボル(+5VやGNDなど)につながっている配線は、電源シンボル名がネット名になりますが、今回はGNDシンボルを使用していないので上記の「Net-(D1-Pad1)」というネットになっています。
ベタパターンの範囲を指定する
- 基板の四隅をクリックして基板全体を覆うように範囲指定をしていきます
- 終点をクリックする(始点の箇所を再度クリックする)と範囲指定が完了します
5Vベタパターン
次に、+5Vのベタパターンを追加していきます。- GNDの時と同様の手順で「塗り潰しゾーンの追加」アイコンをクリックして、ベタパターンの始点をクリック
- 導体ゾーンのプロパティで、+5Vのネット「Net-(J1-Pad1)」を選択
- ここで、設定の「ゾーン優先度」を「1」にしておきます
こうすることで、他のベタパターンの範囲内でも優先度の値が高い方のベタパターンが追加できるようです。
- +5Vのベタパターンの範囲を指定した後、ベタパターンの表示を更新するとGNDの時と同様に指定した範囲がベタパターンとなります
ベタパターンの状態を更新する
上記で+5Vベタパターンを追加した直後はGNDベタパターンと+5Vベタパターンが重なった状態になっているのでベタパターンの表示を更新する必要があります。- 右側のツールアイコンの「塗り潰しゾーンの追加」アイコンを選択している状態でエディタ内の適当な箇所で右クリックしてメニューを表示させます
- 右クリックメニューの「ゾーン」>「全て塗り潰し」を選択します
- または、キーボードの「B」キーを押すことでも同様に「全て塗り潰し」が可能です
すると、ベタパターンが最新の状態に更新されます。
裏面のベタパターンの追加
基板裏面にもベタパターンを追加していきます。
今回は裏面には配線する必要がなかったので、全面GNDベタパターンとします。
おもて面の手順と同様にGNDのベタパターンを追加します。
- 導体ゾーンのプロパティで、レイヤの設定は「B.Cu」を選択
- ネットは「Net-(D1-Pad1)」を選択
- 基板全体をGNDベタパターンの範囲に指定します
これで下図のように裏面は全面GNDベタパターンとなります。
その6に続きます。
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