KiCadでの設計作業編
今回もいつも通り、回路設計とアートワーク作業にはKiCadを使っています。- KiCadバージョン : 4.0.6安定版
- PC環境 : Windows10(Macbook proのVirtualBox上でWindows10を動かしています)
設計作業の手順は毎度の基板製作と同じです。
ただし、今回は部品調達と部品実装もしてもらったので、部品表作成や座標データの出力作業も追加で必要になります。
- 基板仕様を考える
- 回路設計作業
- 基板設計、アートワーク作業
- 発注用ガーバーデータ、部品実装用の座標データを出力
- 部品表の作成
- 基板メーカーへ発注
基板仕様を考える
ブレットボードでの実験などで使いやすいようになるべく小さい基板で、DIPかSIP形状にしようと考えました。この時点では厳密なサイズは決めずに最大20mm×30mmくらいの基板を想定しておいて、アートワークの段階で最終的なサイズを決めることに。
また、モジュール基板に実装する部品は「MAX17201」と周辺回路として必要最低限な部品のみとしました。
- バッテリー電源入力部分の保護抵抗とパスコン
- 電流検出抵抗(検出抵抗は自由に選べるように外付けでもよかったのですが、実験時に検出抵抗を用意して配線するのは少し面倒かなと思い、電流検出抵抗は実装してしまうことにしました)
- インターフェース部分(I2Cインターフェースとアラート出力)の保護回路
- 温度測定用サーミスタは特になくても問題ないので、必要なときに外付けできるようにして基板には実装しないことにしました
- 動作に必要最低限の部品と実装した「MAX17201のピッチ変換基板」のようなイメージで考えました
回路設計作業
MAX17201のデータシートに基本的な参考回路が載っているので、これを参考にしました。MAX17201はシングルセルのバッテリーのみ対応なので、この基板もシングルセルのみ使用可能な回路となっています。
- 今回は基板メーカーに部品調達してもらいますので、DigiKeyで入手しやすそうな部品を見繕って選定しました(実際は基板メーカーと提携しているサプライヤーから調達するそうなので、本当に入手しやすかったかどうかは良く分かりませんが。。。)
- 部品点数も少なく、特に複雑な回路ではないので、ササっと部品ライブラリを作って回路図を書きます。
- コンポーネントとフットプリントの割り当てを行なった後に、ネットリスト出力を行います
基板設計・アートワーク作業
基板上にフットプリントを配置して検討した結果、最終的なサイズは15mm×27mmとしました。また、基板の端子は合計10ピンを2.54mmピッチで1列に並べたSIP形状にしました。
ガーバーデータ、座標データを出力
・ガーバーデータ出力・座標データ出力
PCBGOGOさんでは部品の座標データが必要とのことでしたので、下図のように「フットプリント位置情報ファイル」から座標データ(.posファイル)を出力します。
当初このデータで大丈夫か不安でしたが、特に指摘等はなかったのでこれで問題ないようです。
出力した座標データはテキストデータなので、テキストエディタで見ることができます。
念のため、必要な部品の座標が含まれているか一度ファイルを開いて確認してみると良いかと思います。
座標データのフォーマットについてはPCBGOGOさんのウェブサイトで説明が載っています。
https://www.pcbgogo.jp/assembly-file-requirements.html
部品表作成
基板メーカーに提出する部品表を作成します。だいたいは基板メーカーのサイトに必要な内容やフォーマットなどの条件が記載されています。
【参考:PCBGOGO】https://www.pcbgogo.jp/assembly-file-requirements.html
基板メーカーへ発注
今回の基板製造および部品実装にはPCBGOGO.JPの部品実装サービスを利用しました。(https://www.pcbgogo.jp/pcb-assembly.html)
ウェブサイトの見積もり依頼フォームから見積もり依頼を行うことができます。
フォームに必要な内容を記入し、部品表・ガーバーデータ・座標データのアップロードを行います。
- 部品調達方法
- 実装枚数
- 部品実装面(片面 or 両面)
- 表面実装部品の数
- 挿入部品の数
- 他の依頼事項
- 部品表、ガーバーデータ、座標データのアップロード
部品実装サービスの依頼フォームでは生基板の仕様を指定する項目がないので、基板仕様に指定がある場合は「他の依頼事項」欄やメールなどで別途伝える必要があると思います。
基板メーカー側での内容確認後に担当スタッフさんから実装基板の見積もりが送られてきます。
見積もり内容が問題なければ、入金処理を行い発注完了です。
【参考】M5Stackと組み合わせてみました
液晶にバッテリー情報を表示
最近入手して実験などで使っているM5Stackを利用した例です。iw回路設計@iwCircuitDesign先日入手したM5Stackを使って、バッテリ残量計IC(MAX17201)の基板を実験中です。 https://t.co/WVy7FEAa2K
2018/03/24 14:09:15
iw回路設計@iwCircuitDesignM5Stackとバッテリ残量計IC(MAX17201)を使って、バッテリメーターのようなものを作ってみました。 https://t.co/J1xnpCaLJH
2018/03/29 14:03:09
M5Stackは液晶とバッテリーを備えているので、このモジュール基板を試してみるのに最適でした。
このバッテリー残量計ICモジュール基板を使って内蔵バッテリーの状態を液晶に表示させています。
MAX17201からは
- バッテリーの相対容量(現在の残容量を%表示した値)
- 絶対容量(mAh)
- バッテリー電圧
- バッテリー電流
- 満充電までの時間
- 空になるまでの時間
↓基板概要についての記事はコチラ
バッテリー残量計IC(MAX17201)のモジュール基板を作りました