KiCadで基板を作る

オープンソースの回路CAD「KiCad」を利用した回路設計や基板製作などを紹介します。


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iw回路設計
KiCadで回路設計や基板設計をしたりしています。 https://iw-circuitdesign.net

今回はZynqに供給する電源について調べます。
Zynqのチップに関する情報はザイリンクス社から各種提供されていますが、下記資料あたりを見ればある程度必要な情報は網羅できそうです。
ザイリンクス社のZynqの資料ページ : https://japan.xilinx.com/products/silicon-devices/soc/zynq-7000.html#documentation

電源ピン

Zynq-7000 SoCテクニカルリファレンスマニュアルの「2.2 電源ピン」のページに必要な電源について記載があります。
power_pin

電源ピンの絶対最大定格

また、Zynq-7000 SoC: DC特性およびACスイッチ特性には電源ピンの絶対最大定格の記載があります。
power_maximun_rating1

電源ピンの説明

さらに、 Zynq-7000 SoCパッケージおよびピン配置ガイドの「1. パッケージ概要」の「ピンの説明」のページには各ピンの説明が載っており、電源ピンについての説明もあります。
power_pin2

必要な電源

以上の情報より、Zynqには複数の電源を供給する必要があります。
  • PSの内部ロジック用:1.0V
  • PSの内部補助電源用:1.8V
  • DDRメモリ用:1.2〜1.8V(DDR3なら1.5V、DDR3Lなら1.35V)
  • PSのMIO用I/O電源:1.8〜3.3V
  • PLL用:1.8V
  • PL用I/O電源:1.8〜3.3V
  • PLのメモリバックアップ用:1.5V(無しでも良い)
  • PLのクロックRAM用:1.0V 
  • PLの内部補助電源用:1.8V
  • XADC用アナログ電源:1.8V 

 少なくとも、1.0V、1.8V、3.3V、DDR用電源(1.5V or 1.35V)、アナログ用電源(ロジック用とは別系統の1.8V)の5系統は必要となりそうです。

電源投入/遮断シーケンス

正しく動作させるため、電源投入や遮断には推奨の順序があります。
Zynq-7000 SoC: DC特性およびACスイッチ特性の資料に電源投入/遮断シーケンスについての記載があります。
power_sequence

どのような電源を使用するか

複数系統の電源があるため、使用する電源は
  • 複数系統出力できる電源IC(PMIC)を使用する
  • それぞれの系統ごとに個別の電源(DC/DCコンバータやレギュレータなど)を用意する
といった方法が考えられます。

複数系統出力できるPMICの場合

  • 一つのICで複数出力できるため、基板スペースは小さくできる
  • 電源立ち上げ順序などをコントロールできる
  • I2Cなどで電圧などのモニターや制御ができるものもある
  • 今回のケースにうまくマッチしたPMICを選定する必要がある(最適なものがない可能性もある)
  • PMICの価格や入手性は調査が必要(価格が高価だったり、入手性が悪い可能性もある)

個別に電源を用意する場合 

  • 単一出力のDC/DCコンバータなどは種類が多いため、選定や設計の自由度が比較的高い
  • 電源ごとに最適な配置にしやすい
  • 部品点数が多くなる 
  • 正しい電源投入/遮断シーケンスとなるような仕組みが必要

といったようにどちらもメリット・デメリットはありますが、PMICを使用した方が部品点数が少なくて済み、設計も比較的楽になりそうですので、今回はPMICを使用する方向で進めようと考えています。 


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